新型コロナウイルスのパンデミックから2年が経とうとしていますが、現在もオミクロン株の感染拡大で第6波が続いています。
長引くストレスで心身の不調を感じている人もいるのではないでしょうか。このまま、不調を抱えたまま過ごして良いのでしょうか…。
今回は、コロナ禍で増加している「なんとなく不調」の対処法について、専門家の先生にうかがいました。
女性の8割以上が「なんとなく不調」を感じている
株式会社ツムラが、20代〜40代の男女1800人を対象に2021年12月に実施した「第2回 なんとなく不調に関する実態調査」では、6割の人が不調を感じたと回答しました。
これは、前年の57.2%よりも高い結果です。
特に女性は男性よりも不調を感じやすい傾向があり、20代女性では74.3%と約4人に3人が不調を訴える結果になりました。
具体的な症状については、「目の疲れ(72.1%)」、「疲れ・だるさ(70.6%)」、「肩こり(64.4%)」、「イライラ感(59.1%)」、「寝つきにくい・目覚めが悪い・眠りが浅い・不眠(52.6%)」などが、いずれも5割以上という高いスコアでした。
さらに、日常生活で「なんとなく不調」を感じる経験をしている女性が8割以上ということにも注目です。
「なんとなく不調」で病院へ行く人は少数派
問題は心身に不調を感じていても医師の診断を受けない人が7割以上もいるという点です。
6割以上が病院に行くことを躊躇うとも回答しています。
躊躇する理由としては、「お金がかかる」や「病院に行く時間がない」などの回答が多く、金銭面や時間のなさから、不調ケアを後回しにする人が多い実態が見えてきました。
婦人科医の丸山先生に聞いてみた「なんとなく不調の対処法を教えてください!」
「なんとなく不調」を抱えていても、わざわざ時間を割いて医師に相談するほどではないと思っている人は多いと思います。
そこで、霞が関ビル診療所婦人科の丸山綾先生に、「なんとなく不調」の対処法についてうかがいました。
ー20代女性の多くが不調を感じているのは、何か理由があるのでしょうか?
「女性はもともと月経により自律神経の不調が多くなり、環境変化の影響を受けやすいのですが、20代~30代は学生から社会人になったり、結婚や出産をしたり、プライベートでも変化が大きいことから、他の年代に比べるとコロナ禍の影響をより受けやすいと考えられます」(丸山先生)
ー「冷え」や「寝つきの悪さ」を訴える人が増えた理由についてはどうでしょう?
「コロナ禍の慢性的な運動不足や生活リズムの乱れにより、全身の症状として表れてきたと考えられます。」(丸山先生)
ー8割以上の女性が感じている「なんとなく不調」を改善するための方法はありますか?
「『なんとなく不調』というのは、自律神経の不調であることが多いようです。まずは睡眠、食生活、運動習慣など生活習慣や生活リズムを整えることが大切です。
漢方医学では、気血水(きけつすい)の三要素が滞っていることが、不調を引き起こすと考えます。この気血水を巡らすのが運動です。
散歩をしたり室内でスクワットをしたり、自分の体力や好みに合わせて体を動かす習慣をつけることが、不調の予防にとても役立ちます」(丸山先生)
ー仕事や育児などで自分だけではコントロールできない時はどうしたらいいのでしょうか?
「医療機関に相談してください。今回の調査でも不調で病院を受診する女性はわずかでしたが、その背景には、月経痛などの不調を病気と思っていないことや、我慢を美徳とする傾向などが考えられます。
しかし不調を我慢する必要はありません。適切な処置をすることで、不調の無い日常を取り戻すことができます」(丸山先生)
我慢しないで、医療機関に相談を!
丸山先生は、医療機関を受診することで隠れた病気がないか確認できるのもメリットだと指摘します。
自己判断でセルフケアをして時間とお金を費やした挙句、血液検査をしたら実は全く別の原因だったというケースもあるそうです。
「なんとなく不調」のように病名がつかない症状も、対症療法や漢方薬での治療もできるとのことなので、我慢をせずに医療機関に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。